"Big Willie Style"の誤訳・珍訳に関して

nanacent2007-06-16


ウィル・スミスが97年にリリースした「ビッグ・ウィリー・スタイル」というヒットアルバムがある。

これに収録されているインタールードというかスキットというかミニコントで、失礼なリポーターがウィル・スミスを怒らせてはチャーリー・マックにシメられるという連続ネタがあるが、このリポーター役。ジェイミー・フォックスにそっくりだなあと思っていたら本当にジェイミー・フォックスだった(!!)という驚愕の事実を最近知った。
名前はクレジットされていないし、ウィルやジェイミーがこれに関して語ったところを聞いたこともないが、どうやらそうらしい。「アリ」以前に共演していたとはね〜。仲いいはずだわ。

そんなこともあって改めて「ビッグ・ウィリー・スタイル」を聞きながら、ライナーノーツを眺めていたところ。

最初はウィルの"Thanks to"の文章がクールだな〜とか思っていた。
曰く、

「誰々に感謝」をやるのはいつも大変だ。
必ずうまい具合に誰かを忘れては、どこかの道ばたでばったり会ったときに、「人生最高の年月をあんたに捧げたのに、"感謝ひとつナシ"がその感謝!」と怒鳴られる。
だから時間と、このアルバム裏面にある紙面の関係上、それから公衆の面前で笑い者になるのを避けるために、何よりまず、神に感謝をしたい。
マムマムとダディ・オー、ジジと家族みんなに感謝をしたい。
アフリカのことわざにあるように、「一人の子供を育てるには村ひとつを要する」。
僕はたくさんの人であふれかえる村々に育てられ、その数は莫大すぎてひとりずつ名前をあげることができない。
でもすべての友人、すべての「村人たち」に。このアルバムだけではなく、僕のキャリアと人生全体を通して助けてくれた。誰のことを言ってるか分かるよな。
誰だって自分の力だけでは「ビッグウィリー」なんかになれない。それを僕がはっきり確信していることは分かっていてほしい。
それからトレイとジェイダ。
僕は生き、愛し、働く、そのすべての日のすべての瞬間、
君たちが僕を誇りに思ってくれるような人間になりたいと願ってる。愛してるよ。



いい男…。
時期的に最初の奥さんのシェリーに離縁されて長男のトレイ君を引き取り、ジェイダとの関係を温めていたころ。
このアルバムに入ってるトレイ君への"Just The Two of Us"やジェイダへの"Chasing Forever"も誠実な愛情がひしひしと感じられていいんだよね〜〜〜などと思いながら、歌詞カードの和訳に目を通していたところ…
誤訳・珍訳の連発に相当ズッコケました。(ようやくタイトルにある本題っす)
洋楽アルバムの対訳のひどさはもはや定番化してるとはいえ………ひどかった。1から100まで何を言ってるのかサッパリわからなかった。
ラップは韻を踏むことを重視するあまり、オリジナルの段階で意味を成さなくなってる例もあるにはあるみたいだが、ウィル・スミスの場合は文法も意味もほとんど崩してこないので素人にもかなり分かりやすいはず。なのにプロの業者(ソニー)がやっておきながら…たとえば、"Men In Black"。
同名映画の主題歌であるこの曲は、クールでしかもちょっとしたヒーローの哀愁が感じられるところなんかが好きだったが。
この曲のラストの部分は…
All right check it let me tell you this in closing I know we might seem imposing But trust me we never showing this section Believe me, it's for your own protection Cause we see things that you need not see And we be places that you need not be So go with ya life, forget that Roswell crap Show love to the black suit, cause that's the Men in That's the Men in...
(オーライ いいかい 最後にこれだけは言わせてくれ 図々しく思われるかもしれないが でも聞いてくれ 俺達が君のもとへ行くのは 信じてくれ それは君を守るため 君達が見る必要のないものを見て 君達が行く必要のない場所へ行くため だから引き続き人生を楽しんで あのロズウェルって駄作は忘れ ブラックスーツに愛を なぜならそれが俺達の着る 俺達の着る…)



ロズウェル-星の恋人たち-」という人間と宇宙人の恋愛ドラマ(この設定ではMIBが悪役になってしまう)を知らない人には分からないユーモラスな言い回しだが、この部分、歌詞カードの訳では、
ローズウェルの拍手など忘れるように
となっていた。
ローズウェルという謎の登場人物を持ち出してきたところまでは大目に見るとしても、
"crap"→くだらないもの
"clap"→拍手
辞書ぐらい引いてくれ…



その他の誤訳・珍訳一覧


  • "Just Cruisin'"より

Rapper slash actor, right back at ya
(ラッパー兼俳優だ 君のもとに戻ってきたぜ)

→歌詞カード:(ラッパーは俳優を切りつける 背中を)
なにしてるんだ、ラッパー…


  • "Gettin' Jiggy Wit It"より

Never see Will attacking em Rather play ball with Shaq and em Flatten em Psyche Kiddin' You thought I took a spill But I didn't Trust
(ウィルが人を攻撃するところなんて見たことがない それよりシャック達とバスケをして みんなをボコボコにしてやったぜ なんちゃって 冗談だよ! おれのことラリってると思っただろ でもラリってないんだ 本当だって)

→歌詞カード:(ウィルは絶対乱暴はしない まじめにやるさ かれをやっつけろ サイク、からかうんじゃない 倒れたかと思った だが大丈夫だった 信じて)
いや、ラリってると思う。


  • "Chasing Forever"より

No car I ever drove No ice I ever saw No music I ever made ain't nothing I wanted more
(乗ったことのない車も 見たことのないダイヤも 書いたことのない曲も もう何もいらない)

→歌詞カード:(車を運転したこともなく 氷を見たこともない 音楽を書いたこともない これ以上望むものはない)
ジャングル育ちか?…


  • "I Loved You"より

I thought you was the one, hon yeah When I met you at the Freaknik Whoever thought you'd be the type to creep and keep secrets
(おれは君が運命の人だと思ってた ハニー Freaknikで君に出会ったとき 隠れて浮気をするタイプだなんて誰が思っただろう)

→歌詞カード:(この人だって思ったの あなたと気まぐれ亭であった時 あなたが陰でこそこそ出歩くような人だとは、思ってもみなかった)
なぜ女言葉…そして気まぐれ亭…


  • "It's All Good"より

My life be so good, so good, A jigga jigga a jigga jigga good
(おれの人生は超グッド ジギジガー・ジギジガー グッド!)

→歌詞カード:(おれの人生はすばらしい、すばらしい、ランランラン、ランランラン)
誤訳ではないがカッコ悪い!!!!!!!



たまらんわ、もう。。